先日、GTMのサーバーサイドタグを利用したFacebookコンバージョンAPIの実装記事を書いたのですが、そもそもなんでコンバージョンAPIが必要なのかという部分を掘り下げて説明したほうが良い気がしました。
Facebook/Instagram広告の成果を計測する方法は現在2通りあり、1つはFacebookピクセル、もう1つがコンバージョンAPIです。
ピクセル方式は以前から行われていた計測方法でしたが、最近はコンバージョンAPIで計測することをFacebookは推奨しています。
「サードパーティcookie規制強化に伴う、新たなCV計測方法」という理由で勧めているんですが、まだまだ界隈では「なんだか良くわかんないけどピクセル共有すれば出来るし、ASPがコンバージョンAPIを実装しているからそれで良いんじゃない?」という風潮を感じます。
実際はちょっとした問題があります。
ドメイン認証飲み込まれ問題
Facebookピクセルとは、Facebook/Instagram広告の計測に使うタグの名称ですが、2021年5月頃にAppleがiOS14.5アップデートにてiOSアプリのATT(アクティビティトラッキングのオプトインダイアログ)を強制化しました。
Facebookは既存のトラッキングが機能しなくなり、対策を考えた結果、ドメイン認証したビジネスマネージャーでのみ、対象のドメインで優先度をつけて8つまでトラッキングできるイベントを設定できる機能(合算イベント測定)をリリースしました。
これに伴い、一つの広告主に複数の運用者がいる場合(アフィリエイトなど)は各運用者がそれぞれ個別のFacebookピクセルを対象ドメインのサイトに埋めていたものが不可能となり、広告主がドメイン認証、合算イベント測定の設定をしたピクセルを運用者のビジネスマネージャーに共有するという方法で、計測されることになりました。
しかし、これには問題があります。
Facebookは広告するのに必要な機能やユーザーを比較的ライトにBANします。
ドメイン認証は1ドメインに1ビジネスマネージャーしか出来ないため、広告主がドメイン認証したビジネスマネージャーや操作ユーザーがBANされた場合、ピクセルも使えなくなり、ドメイン認証も解除できないという状態になり詰んでしまいます。
また、ATTでオプトアウトされたユーザーはトラッキングが制限され、経路上合算イベント測定で優先度が最も高かったイベント以外のデータが欠落します。
ASPのコンバージョンAPIパラメータが足りてないんじゃないか問題
ピクセル共有が難しいとなるとコンバージョンAPIで計測ということになります。
コンバージョンAPIはちゃんと設定すればcookieの制限によるデータの欠落もありませんし、サーバー上で設定するものなので、FacebookのBANも気にする必要はありません。
しかし、ちゃんと設定するという部分がASP経由の場合ネックになります。
コンバージョンAPIのパラメータの一部抜粋ですが、ユーザーデータは下記のようなものになります。
- 氏名
- 住所
- 電話番号
- メール
これはブラウザ上(フォーム)から取得するコーディングが個別で必要になるので、ASPが一律で構築しているコンバージョンAPIでは送信していないと思います。(個人情報だからという点もありそう)
※全てのASPが送信していないかは不明ですが、ユーザーデータも送っているASPがあれば記事訂正するので教えて頂けたら助かります。
ユーザーデータを送信しないとパラメータ不足で最適化が進まないため、パフォーマンスが非常に落ちます。
じゃあどうすれば良いの?
対策はインハウスのみなのか、ASPを通しているのかなどでいくつか考えられますが、自分が良いと思うのは広告主ビジネスマネージャーでベースコードピクセルのみを設置し、そのピクセルに対してちゃんとコンバージョンAPI設定することです。
ピクセルはベースコードのみでイベントを送信しないため、ドメイン認証不要です。
コンバージョンAPIはちゃんとユーザーデータを送信するように構築することで最適化が進みデータの欠落もありません。
そのように設定したピクセルを共有すれば委託先でも成果計測可能です。
成果を考えた場合のベストはピクセルもきちんと設定してコンバージョンAPIと同一のイベントを拾うようにする方法が良いのですが、その場合ですとドメイン認証が必要になりますので、ビジネスマネージャーをきちんと管理できない状態に無いならば、BAN問題が発生します。
ということでコンバージョンAPIを広告主側で設定する必要があることになり、前回の記事に繋がる訳でした。